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2025.06.20

リモートデスクトップに接続できない原因は? 対処法7選を解説

リモートワークの普及により、リモートデスクトップの活用が広がる一方で、「突然つながらなくなった」「接続が不安定」といったトラブルも増加しています。特に社内全体のIT環境を管理する担当者には、こうした接続トラブルへの迅速な対応が求められるでしょう。
本記事では、リモートデスクトップに接続できない原因と対処法を整理し、頻発するトラブルに対する対応策を紹介します。リモートワーク中の業務停止リスクを最小限に抑えるためにも、参考にしてみてください。

リモートデスクトップ接続の仕組み

リモートデスクトップとは、離れた場所にあるPCに手元のPCからアクセスして操作する仕組みです。Windows標準のリモートデスクトップ(RDP)をはじめ、AnyDeskやTeamViewerなど、さまざまなツールが使われています。

リモートデスクトップは、画面の映像や入力操作の情報をネットワーク経由でやりとりすることで、遠隔のPCを操作できる仕組みです。クライアント側のPCからホスト側のPCに対して接続要求を送り、認証が完了すると接続が成立します。

代表的なプロトコルとしては、Windowsで採用されている「RDP(Remote Desktop Protocol)」や、「VNC(Virtual Network Computing)」などがあります。

リモートデスクトップに接続できない場合の初期チェックリスト

リモートワークの普及によりリモートデスクトップの利用機会は増えましたが、「接続できない」「突然つながらなくなった」といったトラブルも少なくありません。接続できないときにまずチェックしたい初期チェック項目を挙げます。

  • 接続先のPCは電源が入っているか/スリープ状態ではないか?
  • 接続先のPCでリモート接続が許可されているか?
  • ネットワークが同一か、またはVPNでつながっているか?
  • 接続先のユーザーアカウントがリモート接続を許可されているか?
  • 接続元と接続先の両方でファイアウォールやセキュリティソフトがブロックしていないか?

これらを順に確認することで、接続障害の原因を絞り込むことができます。

リモートデスクトップに接続できない際のエラーメッセージと原因

リモートデスクトップの接続時に、エラーメッセージが表示されることがあります。このメッセージから原因を特定できれば、迅速に対応することが可能です。ここでは、よくあるエラーメッセージとその主な原因を紹介します。

「リモートデスクトップはリモートコンピューターに接続できません」

リモートPCに到達できないときに表示される一般的な接続エラーです。ネットワーク上に接続先PCが見つからない、または応答がない場合に発生します。

▶︎原因

  • 接続先PCの電源が切れている、またはスリープ状態になっている
  • IPアドレスが変わってしまっている(動的IPアドレス環境)
  • RDPのポート(TCP 3389)がルーターやファイアウォールで遮断されている
  • VPN未接続などにより社内ネットワークに到達できていない

▶︎対処法

  • 接続先PCの電源状態とスリープ設定を確認する
  • 正しいIPアドレスを再確認し、可能であれば固定IPを設定する
  • ファイアウォールやルーターでTCP 3389が開放されているか確認する
  • VPN接続の状態を確認し、必要に応じて再接続する

「お使いの資格情報は機能しませんでした」

ユーザー名またはパスワードが認証に失敗したときに表示されるエラーです。資格情報が間違っているか、適切に認識されていない場合に発生します。

▶︎原因

  • 入力したユーザー名/パスワードが間違っている
  • Microsoftアカウントとローカルアカウントの混同
  • 過去に保存された古い資格情報が使用されている

▶︎対処法

  • 正しいアカウント情報を入力し直す(Microsoftアカウントの場合、メールアドレス形式で入力する必要がある)
  • Windowsの「資格情報マネージャー」から保存された情報を削除し、再入力する
  • 接続先PCに実際にそのアカウントでログインできるか事前に確認する

「このユーザーカウントはリモートログインを許可されていないため、接続は拒否されました」

ユーザーカウントがリモート接続を受け付けていないときに表示されるエラーです。接続そのものは可能でも、ユーザーにログイン権限がないケースです。

▶︎原因

  • 対象のユーザーが「リモート デスクトップ ユーザー」グループに所属していない

▶︎対処法

  • 接続先のPCに管理者権限でログインし、対象ユーザーを「リモート デスクトップ ユーザー」グループに追加する

「リモートデスクトップはコンピューター○○を検出できません」

入力したホスト名やコンピューター名をDNSが解決できない場合に表示されます。接続先の名前が正しくない、またはネットワーク的に見つけられないときに発生します。

▶︎原因

  • ホスト名やコンピューター名が間違っている
  • 外部ネットワークから内部のDNSが参照できず名前解決できていない
  • VPN接続が必要な構成で接続されていない

▶︎対処法

  • 接続先のPCのIPアドレスを直接入力して接続を試す
  • VPNに接続し、内部ネットワーク上の名前解決が可能な状態にする
  • ネットワーク管理者に、名前解決に関する構成を確認してもらう

リモートデスクトップに接続できない原因と対処法7選

接続できない原因は一つとは限らず、複数の要因が重なっているケースもあります。ここでは、よくある原因ごとに、確認すべきポイントと対処法を詳しく解説します。

接続先PCの電源状態

接続先のホストPCがシャットダウン、またはスリープ状態になっていると、リモート接続はできません。スリープモードを無効にするか、「Wake on LAN」機能を利用して、遠隔でもPCを起動できるように設定しましょう。

ネットワーク接続

接続元・接続先のいずれかのPCがネットワークに正しく接続されていないと、通信は成立しません。また、接続先のPCがDHCP(動的IP)で運用されていると、IPアドレスが変更されて接続できなくなるケースもあります。ネットワークの状態やIPアドレスに問題がないか確認しましょう。

VPN接続

社外から社内PCに接続する場合、VPN経由で接続する構成が一般的です。もしVPNが未接続・不安定な場合、社内ネットワークに到達できません。VPNの接続状態を確認し、適切に社内ネットワークへルーティングされているかをチェックしましょう。

ファイアウォール設定

リモートデスクトップ接続は、既定で TCP の 3389 番ポートを使用します。このポートが遮断されていると、接続リクエストが届かず通信が確立できません。遮断の原因は複数考えられます。

1つ目は、接続先PCの Windows Defender ファイアウォールやセキュリティソフトの設定です。ここでリモートデスクトップの受信がブロックされていると、社内ネットワークからの接続でも失敗します。

2つ目は、社内ネットワークのファイアウォールやUTMなどの境界セキュリティ機器による制限です。特に、在宅勤務や外部ネットワークからのアクセスでは、これらのネットワーク機器で「外部からのTCP 3389を一律ブロック」する設定がされていることが多く、接続が成立しない原因となります。

まずは接続先PCのファイアウォールで、リモートデスクトップ通信が許可されていることを確認しましょう。もし、ネットワーク機器でのポート制限が疑われる場合は、社内のネットワーク管理者にTCP 3389の開放状況を確認する必要があります。外部公開が難しい場合は、VPN経由で社内ネットワークに接続し、そこからRDPを行う方式も検討されます。

ホストPCのリモートデスクトップ接続の設定

接続先のホストPCで、そもそもリモートデスクトップ接続を受け付ける設定になっていない場合、接続ができません。デフォルトではリモートデスクトップ接続を受け付ける機能が無効化されているため、以下の手順でホストPCを設定しましょう。

  1. [設定]を開く
  2. [設定]のサイドメニューで[システム]を選択
  3. 下にスクロールして[リモートデスクトップ]をクリック
  4. [リモートデスクトップ]欄の右端のスライドスイッチを「オン」にする
  5. 接続の許可を確認するダイアログが表示されたら、[確認]をクリック
  6. [PC名]欄のコンピュータ名をメモしておく(接続時に必要になるため)
  7. [リモートデスクトップ]欄の右端の[^]アイコンをクリックして、関連設定項目を表示させる
  8. [デバイスが接続時にネットワークレベル認証を使用することを要求する]にチェックを入れて「オン」にする

一般ユーザーの接続設定

管理者ではない一般のユーザーカウントに対してリモートデスクトップ接続を行うためには、上記の設定に加えて、「リモートデスクトップユーザー」グループへの追加が必要です。

  1. 前述のリモートデスクトップの設定画面で、[このPCにリモートでアクセスできるユーザーの選択]、または[ユーザーの選択]ボタンをクリックして、「リモートデスクトップユーザー」ダイアログを開く
  2. [追加]ボタンをクリック
  3. 続いて表示された「ユーザーの選択」ダイアログで[詳細設定]ボタンをクリックする。より大きい「ユーザーの選択」ダイアログが現れる
  4. Active Directoryで管理しているドメインの場合は、[場所]ボタンをクリックして、対象のアカウントが存在する場所をドメイン/ローカルコンピュータなどから選択
  5. [検索]ボタンをクリック
  6. 「検索結果」欄に表示されたユーザー/グループ一覧から、接続を許可したいアカウントを選択
  7. [OK]ボタンをクリックしていって各ダイアログを閉じ、アカウント追加を反映

Windowsアップデートの影響

あまり頻繁ではありませんが、Windowsアップデートの影響でリモートデスクトップ接続ができなくなるケースが報告されています。特に、セキュリティ関連の更新やプロトコル仕様の変更を含むアップデート後に、接続が急にできなくなったという事例があります。また、アップデートによってファイアウォール設定が初期化されたり、リモートデスクトップ関連のサービス設定が変更されたりすることもあります。これにより、設定が以前と同じであっても接続ができなくなることがあります。

アップデート直後から接続ができなくなった場合には、まず以下の点を確認しましょう。

  • エラー内容に「認証」や「サポートされていない機能」といった文言が含まれていないか
  • Windows Defender ファイアウォールで「リモートデスクトップ」が許可されているか
  • リモートデスクトップサービス(TermService)が正常に起動しているか

リモートデスクトップ接続を安定させるためのポイント

リモートデスクトップ接続は一度つながっても、環境によっては突然切断されたり、接続できなくなったりすることがあります。この章では、そうしたトラブルを未然に防ぎ、リモート接続をより安定して使い続けるための3つの基本的な設定ポイントを解説します。

固定IPアドレスの設定

接続先のホストPCのIPアドレスがDHCP(動的割り当て)で変動してしまうと、リモート接続が失敗する原因になります。特に、社内LAN内で使用する場合やVPN越しにアクセスする場合、IPアドレスの変化によって接続できなくなるケースが多発します。

この問題を回避するためには、接続先PCに固定IPアドレスを設定するのが有効です。社内ネットワークで利用しているルーターやDHCPサーバーの設定画面から、MACアドレスに基づいてIPアドレスを固定割り当てする「DHCPリース予約」を使う方法もあります。

Wake on LANの活用

接続先PCがスリープ状態やシャットダウン状態になっていると、当然ながらリモートデスクトップ接続はできません。

このようなときに便利なのがWake on LAN(WoL)という機能です。ネットワーク経由でPCの電源をリモートからオンにできる機能で、自宅から会社PCを起動したい場合などに非常に便利です。ホスト側PCのBIOS設定とネットワークアダプターの構成を適切に行えば利用できます。ただし、会社のネットワーク機器(ルーターやスイッチ)によってはWoLパケットの通過が制限されることもあるため、導入には事前確認が必要です。

VPN環境の見直し

社外から社内ネットワークのPCにリモートデスクトップで接続するには、多くの場合VPN(Virtual Private Network)を経由する必要があります。ただし、VPN環境によっては通信が不安定になったり、遅延が発生したりすることがあり、結果としてリモートデスクトップの操作感に大きな影響を与えることがあります。

VPN接続を安定させるためには、まずVPNのトンネリング方式やルーティング設定が、用途に合っているかを確認することが重要です。たとえば、スプリットトンネル(社内宛通信のみVPN経由)を採用している環境では、必要な宛先に通信が届かないケースもあるため、安定性を重視するのであればフルトンネル(すべての通信をVPN経由)への切り替えを検討する余地があります。

また、VPNクライアントの設定やバージョンが古く、セッションが切断されやすいといった問題も考えられます。可能であれば、社内推奨のVPNクライアントに統一し、定期的にアップデートされているかを確認しましょう。

VPNの安定性に関しては、利用者側で確認できる部分もあるものの、通信経路やセキュリティポリシーの見直しにはネットワーク管理者(情シス)との連携が不可欠です。接続品質に不安がある場合は、ログをもとに帯域や遅延、切断頻度を記録し、社内でのVPN環境の最適化を検討してもらうとよいでしょう。

まとめ

リモートデスクトップに接続できないトラブルは、ネットワークや端末の設定、ユーザー権限など、複数の原因が考えられます。そのため、切り分けながら対処することが重要です。
特に企業での利用には社内ポリシーやセキュリティ制限、VPN構成なども絡むため、IT管理者には体系的なトラブル対応が求められます。ぜひ今回紹介した原因別の対処方法やエラーメッセージの内容を把握し、今後のトラブル対応に活用してください。