DaaSの代表的なサービス6選を比較! 種類やVDIとの違いも
リモートワークの普及やセキュリティ意識の高まりにより、仮想デスクトップを導入する企業が増えています。DaaSは仮想デスクトップをサービスとして提供する形態です。DaaSには多くのメリットがありますが、さまざまな事業者が提供しているためどれを選べばよいか悩んでしまうかもしれません。本記事では、DaaSの概要や種類、代表的なサービスについて詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
DaaSとは
DaaS(Desktop as a Service)とは、クラウド環境に構築された仮想デスクトップをサービスとして提供する形態のことです。インターネット環境さえあればどこからでも仮想デスクトップを利用でき、手元のPCにOSやソフトウェアをインストールする必要がありません。データの保存もサーバー上で行われるため手元のPCには残らず、PC紛失などによる情報漏洩を防げるなど、セキュリティ効果も高い特徴があります。
VDIとの違い
DaaSと混同しやすいのがVDI(Virtual Desktop Infrastructure)です。VDIはクライアントデバイスとデスクトップ環境を分離するための技術のことを指します。つまり、DaaSはVDIの一形態と言えます。
また、一般的にVDIはオンプレミス環境に構築された仮想デスクトップシステム自体を指すこともあります。そのため、VDIは自社で構築・運用を行うサーバーを使用するのに対し、DaaSは事業者が提供するクラウド上のサーバーを使用する違いがあります。
DaaSのメリット
DaaSには具体的に次のようなメリットがあります。
- 場所を問わずにデスクトップ環境へアクセスできる。
- PC紛失・盗難などによるセキュリティリスクを軽減できる。
- 社内での環境構築が不要なため、導入コストを抑えられる。
- 基本的にはサービス提供事業者が管理を行うため、運用負荷を軽減できる。
DaaSの種類
DaaSの提供形態には、主に次の2種類があります。
SaaS型
クラウドサービス事業者が構築したVDIをサービスとして提供する形態です。一般的にDaaSと言うとこの形態を指すことが多いです。自社で構築する必要がないため、手間や初期費用を抑えてスムーズに利用を開始できます。また、メンテナンスは提供事業者が行うため、運用負荷を軽減できることもメリットです。一方で、自社の要件に合わせた自由なカスタマイズが難しいというデメリットもあります。
マネージドVDI型
個別にVDIを受託開発し、サービスとして提供する形態です。VDIの構築場所は要件やサービスプロバイダーによりますが、オンプレミス・パブリッククラウド・プライベートクラウドのいずれかを選択できます。自社の要件に合わせて自由にカスタマイズできることがメリットです。ただし、一般的にSaaS型よりも初期費用や利用開始までの期間が多くかかることが多いです。
代表的なDaaS6選
DaaSは現在多くの事業者が提供しています。ここでは、代表的なDaaSを6つ紹介します。
Amazon Workspaces
AWS(Amazon Web Service)が提供するSaaS型DaaSです。WindowsまたはLinux OSのデスクトップ環境を選択できます。また、多様なバンドルを選択できる特徴があります。バンドルとは、コンピューティング・ストレージ・OS・ソフトウェアリソースなどの組み合わせのことです。
「Amazon WorkSpaces Family」https://aws.amazon.com/jp/workspaces/
Azure Virtual Desktop
Microsoft Azure が提供するSaaS型DaaSです。Microsoft製品のため、WindowsOSやMicrosoft365、Azure ADなどのMicrosoftサービスと親和性が高い特徴があります。またWindows10/11OSの1つの仮想マシンを複数のユーザーで利用できるマルチセッション接続ができ、大規模な利用環境にも対応可能です。
「Azure Virtual Desktop」https://azure.microsoft.com/ja-jp/products/virtual-desktop
Windows 365
パソコンやタブレットなどの端末上のWebブラウザから、クラウド上に設置したWindows OSにアクセスできるSaaS型DaaSです。複雑な設定は必要なく、Azure Virtual Desktopよりも手軽に利用できることが特徴です。一方でカスタマイズ性は低く、一人一台の占有PCを利用することになるため、小規模な環境に適しています。
「Windows 365」https://www.microsoft.com/ja-jp/windows-365
BVDI
NTTデータが提供するDaaSです。2023年現在、国内DaaS市場で1位のシェアを獲得しています。要件に応じてSaaS型、マネージドVDI型を選択したり組み合わせたりできることが特徴です。数万ユーザーにも対応可能で、導入後のユーザー管理などのサポートも万全なため、大規模な環境に適しています。
「BVDI」https://www.bizxaas.com/application/office/bvdi/
参考:NTTデータ、富士通、日鉄ソリューションズなど上位に IDCが国内DaaS市場シェアを発表:DaaS市場はプラス成長 – @IT
FJDaaS-V
富士通が提供するSaaS型DaaSです。VMware社の「VMware Horizon DaaS」を利用して仮想デスクトップ基盤を富士通のデータセンターに構築し、サービスとして提供します。仮想デスクトップ台数やアプリケーション接続数に応じた定額制を採用しており、最小1IDから利用開始できることが特徴です。また、問い合わせ対応や24時間365日の運用監視も標準利用内で提供されるため、安定した運用を実現できます。
「FJDaaS-V」https://www.fujitsu.com/jp/services/infrastructure/virtualdesktop/v-daas/
Resalio DaaS SS
アセンテックが提供するSaaS型DaaSです。一般的なDaaSとは異なり、クラウド上に共有ファイルサーバ、ドメインコントローラ、セキュアゲートウェイ、仮想デスクトップなど社内イントラをまとめて構築できる特徴があります。また、1PCから利用可能で管理画面からPC数を自由に増減できるため、スモールスタートに最適です。
「Resalio DaaS SS」https://www.ascentech.co.jp/solution/resaliodaas/resaliodaas_ss.html
リモートPCサービス
at+linkによる、高パフォーマンスで安定したデスクトップ環境を提供するSaaS型DaaSです。データセンターに用意された物理PCにリモートでアクセスし、デスクトップ環境をサービスとして利用します。仮想環境ではなく物理PCにデスクトップ環境を構築するため、物理PCならではの高パフォーマンスを得られることが特徴です。また、仮想環境に対応していないアプリケーションなども問題なく使用できることもメリットになります。
「リモートPCサービス」https://remote-pc.jp/
まとめ
DaaSは、クラウド環境に構築された仮想デスクトップをサービスとして提供する形態のことです。利用する場所を選ばないことや、セキュリティを強化できるメリットから、DaaSを導入する企業が増えています。
DaaSはさまざまな企業が提供しているため、まずはDaaSの種類や各製品の特徴を理解し、自社に適した製品を選択することが重要です。ぜひDaaS選定・導入時の参考にしてください。